NAGANO映画祭映画原点満喫

プラネマン

2010年11月14日 09:58

個人的に毎年楽しみにしている晩秋の風物詩NAGANO映画祭が始まりました。昨日11月13日に映画祭会場の長野ロキシーさんに行ってきました。


初めに見たのは無声映画の活弁ライブです。活弁とは無声映画や活動写真などに語りを入れる大人版の紙芝居みたいなイメージをしてもらえばいいと思います。2年前の5月に長野ロキシーさんで初めて活弁を見てからその面白さに映画の奥行きの深さを感じファンになりましたが中々上映の機会は無く久しぶりの開催の朗報を聞き上映当日が待ち遠しかったです。


開演10分前頃に会場に入りましたがロキシーさんで一番大きなロキシー1はすでに満員で熱気がムンムンしていて僕と同じように活弁の開催を楽しみにしていた人が多かったと思うと何か嬉しかったです。


今回の弁士は2年前と同じ澤登翠さんでした。澤登翠さんは1973年にデビューした日本を代表する弁士で500本以上のいろいろなジャンルの無声映画の活弁を勤めたそうです。先月末には茅野市で開催された蓼科映画祭でも活弁を上映して各地の映画祭を中心に全国から講演の依頼があるそうです。来週は海外から来る映画関係者と活弁についての商談があるそうで活弁の面白さは知る人は知っているんだな‥と嬉しく思います。


今回の活弁は2本立てで最初に1935年の作品子宝騒動が上映されました。子宝に恵まれている福田家には6人の子供がいますが妻は7人目を妊娠しています。これからお金がいるのにご主人は失業中で電気、ガス、水道と止められてしまいます。子供が生まれそうになり産婆を呼びに行きますが産婆は福田さんがお金を持っていない事を知り相手にしません。


産婆は違う家に行ってしまいますがその家はお金持ちで産婆が見ていたのは豚だと知り福田さんは女房が豚に生まれてくれたら‥と嘆きます。出産費用が無くて弱っている福田さんですがお金持ちの家の豚が逃げ出してしまい捕まえた人には500円の懸賞金が出ると聞きます。勇んで豚を捕まえようとする福田さんですが500円の懸賞金が出ると聞くと皆それぞれの役目を放棄して豚を捕まえに行きます。福田さんは豚を捕まえ懸賞金をゲット出来るでしょうか‥

34分と短めの作品でしたがドタバタコメディで終始笑い続けていました。澤登翠さんの語りは最高でしたがラクビーのシーンは大笑いしてしまいました。今年一年分くらい大笑いした作品でした。


休憩後2作品目の瞼の母が上映されました。1931年の作品でヤクザ者の忠太郎は5才の時母親と生き別れになります。瞼に焼き付いている母の面影を支えに生きてきますが風の噂で忠太郎の母親らしい人物の存在を知ります。


忠太郎は生き別れになった母親が惨めな暮らしをしていてはいけないと思い百両の大金を常に懐に入れていました。道中自分の母親と同年代の女性が困っているのを見ると暖かい手を差し伸べます。その中の1人の女性が忠太郎の出身地にいた事がある女性を知っていると言います。忠太郎はその女性の情報を頼りに会いに行きますが‥


上映時間65分の人情時代劇でした。澤登翠さんの語りにウルウルさせられてしまいました。10代の山田五十鈴さんが可憐な娘役を演じ強烈な個性を放っていました。


ドタバタコメディで大笑いして人情時代劇でしんみりして活弁の魅力を満喫出来た素敵な1日でした。今回の活弁には澤登翠さんの他に無声映画の生演奏を担当する楽団カラード、モノトーンさんが特別出演しました。湯浅ジョウ一イチさんのギターと三味線を上手く使い分けた生演奏が最高でした。バイオリンの古橋ユキさんは桐朋学園音楽学部在学中にプロとしてアルゼンチンのブエノスアイレスでタンゴクラシックの演奏活動をしたそうで現在もブエノスアイレスで演奏活動をしている本格的なバイオリストで活弁に素敵なバイオリンの音色で花を添えてくれました。休憩中におせんにキャラメルの販売もあり映画の原点にめぐりあったみたいで古き良き時代の映画の原点にめぐりあったみたいで最高でした。


中々見る事が出来ない活弁ですが日本最古級のロキシーさんが活弁のメッカになって映画の原点を語り継いで欲しいな‥と思いました。とまれ澤登翠さんと生演奏で盛り上げてくれた湯浅ジョウイチさんと古橋ユキさん、映画祭の関係者の皆様日日常的な空間を演出していただきありがとうございました。楽しい一時でした。

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